秋の木漏れ日の中で遊ぶ子どもたち、湖畔を並んで歩く二人、牧場で草を食む牛たち……
作家は今年旅行で九州を訪れました。今回の展示では、その旅をきっかけに制作された作品群が並びます。
九州の旅といっても、今関が描く場面はどこか海外のような異国情緒を感じさせます。それは作家の「遠くへ思いを馳せたい想い」や「少し距離を置いて眺めたい視点」から生まれた表現です。日常の光景であっても、絵画として切り取られることで新しい発見が宿り、作品に普遍性と広がりを与えているのです。
描く風景を選ぶとき、今関が大切にしているのは、そこに興味のある「間」があるかどうか、そして絵的かどうか、です。彼女は「物を描きながら、空間や時間を描いていると思います」と語ります。
近年の制作では、「これでいい」と思える瞬間を受け入れ、過度に描き込みすぎない自然体の表現へと移行してきました。その穏やかなまなざしが絵にそのまま映し出され、観る人にやさしい余韻を残しています。
作品の下地には、明るいピンクや蛍光色が使われていることが少なくありません。
完成した画面では、その色がわずかに覗くことで全体の空気を軽やかにしています。
写実的な作品は、ときに古典的な印象を与えますが、鮮やかな色を差し込むことで軽やかさと現代性が加わり、風景の中に新鮮な息吹が宿っています。
描き方は写実的ですが、人物は多くが後ろ姿や横顔で、真正面から描かれることはあまりありません。
見る者と見られる者の境界を越えて、ただそこにいる姿を静かに描き留める。
「解釈や決め付けをせず、ただ観察する存在でありたい」と作家が語るように、作品は押しつけがましさを持たず、観る人それぞれの視点や記憶を受け止める余白を持っています。
今関絵美 / Emi Imazeki
2004 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業
近年の展示歴
2024 tagboat ART SHOW, 大丸東京店
2024 tagboat Art Fair, 東京ポートシティ竹芝
2024 個展 “Last Train Home” chignitta, 大阪
2024 ART FAIR GINZA, 銀座三越
2025 WAVE 2025, Lurf MUSEUM
受賞歴
2002 トーキョーワンダーウォール2002 入賞
2003 第14回関口芸術基金賞 入賞
2004 武蔵野美術大学卒業制作展 研究室賞
2019 第14回 TAGBOAT AWARD 入賞
他展示歴多数
人物や風景といった具象を描きながらも、描くうちにモチーフに付随する意味や名前がほどけていく過程に意識を向けている。
物が存在することで生まれる「間」にも同じ重みを与え、その両者を丁寧に描きとめることで、絵画の中に静かな時間と空間を築いている。
開催期間:2025年9月24日(水)~30日(火)
営業時間:10:00-20:00
*最終日は18時終了
会場:博多阪急 1階MEDIA STAGE ※博多駅直結
〒812-0012 福岡県福岡市博多区博多駅中央街1−1
入場料:無料
オンライン販売:2025年9月24日(水)12:00より販売開始いたします。
※オンライン販売は会場がオープンした初日2時間後の12時より開始いたします。
※作品の購入は、各作家サムネイル画像から商品ページへお進みください。
※出品作品は会場でも展示・販売しております。会場とオンラインでの購入が同時となった場合は、会場の購入を優先させていただく場合がございます。何卒ご了承ください。